さておかれる冗談

脚本家でイラストレーターのシーズン野田が綴る「活字ラジオ」。たまに映画を酷評し気を紛らわす悪趣味を披露してます。http://nigaoolong.com/index.html

力うどん   シーズン野田

力うどんの意味が分からない。
餅が入っているうどんの事だが、なぜうどんに餅なのか?
ということである。

よく、関西人はお好み焼きをおかずにご飯を食べる事をさも凄そうに語り、関東人が「炭水化物に炭水化物って意味分らねーし」みたいな突っ込みを入れる、もはやカタログ化している光景がある。
力うどんも関西発祥なのかわからないが、お好み焼きとご飯は別に何となく分る。
ソースって味こいし、生地以外にもさまざまな具材がお好み焼きには入っているからおかずになりえることは想像出来る。

だから、関西人のお好み定食に対する哲学などどうでもよく、だったら広島風お好み焼きに対しての立ち位置の方が自分にとっては埒外だ。

だって、炭水化物に炭水化物って意味わかんねーし!
ってやつだ。

多くの具材が入った大阪のお好み焼きに比べ、焼きそばが大半を占める広島風はなぜか損した気分がする。

というかソースが味付けの焼きそばにすら、自分の場合は軽く思う事があるのだが、それは話がそれてしまうのでここでは言わない。

で、力うどんの意味がわからない。
小生はそう思い、一生そんなものは食わないと心に誓っていた。
うどんも、餅も米が原料であり、つまるところ、氷水と一緒である。
抽象度を上げると、力うどんを食らうことは、氷水を飲むことなのだ。

がしかしである。

今日、なぜか頑に閉じた自分の心が解けていき、無性に力うどんがたべたくなってしまったのだ。
なぜか理由はわからないが、何らかの超自然的存在を介した啓示があったのである。

確か村上春樹は、野球観戦をしているときに啓示をうけ小説を書いたとほざいているが、自分の場合は「力うどんをかっ食らえ」という何ともお粗末なものだった。

ということで、近所のスーパーに直行。
作るのも面倒だし、早く食べたかったので、足繁く通うカップ麺売り場に。
普段、力うどんなんて意識した事がなかったのだが、なんと一種類しかないではないか!!お店は問屋は、メーカーは何をやっておるのだ!
日清が良かったのだが、止む終えず、マルちゃん製を買った。

でうまかったよ、力さん。

力(リキ)さんと呼ばせて下さい。

島風お好み焼きも、焼きそばも、力うどんも思う所はあるけれど、理屈ぬきでうまいといえる「力強さ」がこれらにはある。

自分達もそんな「力強さ」をもった作品を世に送らなくてはならない。

俺ってば意味にすぐとらわれてやんの。

力うどんと氷水が一緒だって!

昨日までの俺って、馬鹿だったんだなぁ。



変なまとめ方しました。