さておかれる冗談

脚本家でイラストレーターのシーズン野田が綴る「活字ラジオ」。たまに映画を酷評し気を紛らわす悪趣味を披露してます。http://nigaoolong.com/index.html

本物の旗書き師がやってくる。  シーズン野田

若手デザイナー,アーティスト総勢50人による
ギャラリー/ショップスペース
POMY『パイレーツ・オブ・ミセデス ヤン』
がこの度ラ・フェンテ代官山にOPEN。

先日行われたオープニングパーティーに愛媛の今治市から御呼びしたのが旗書き師・座間栄一郎先生。
狡嶋流七代目を四年前に受け継ぎ、今は数少ない旗書き師の一人です。

意気揚々と誇らしげに現場に向う座間先生。
交通費はお支払いするのですが、鈍行でやってきました。
浮いた交通費で新しい布と農薬を買うとのこと。

座間先生には、このポミーのマーク

を旗に、パーティーに来られる大勢の前で書いていただくというパフォーマンスをしていただきます。
ただの布が旗になる貴重な瞬間とあって、注目度満点です。



ようやくラ・フェンテに到着。

小股のせいか、すっかり暗くなってしまいました。



控え室で緊張気味の座間先生。

普段はほとんど、人前で旗書く事など無いので、作務衣も新調(本当に二万五千円します)。
「あっしは、普段はミカン(農薬まみれ)としか話さないでやんす…」



さて、先生が拍手で迎えられます。

司会は、私シーズン野田。
正直このとき、私、酔っぱらっております。
こんなくだらないこと、酔わないとやってられません。



大勢のお客さんが、先生の旗書く後ろ姿に「職人のオーラ」を感じ、静まり帰っていました。

日本が誇るモノ作り。
それを支える職人の技を大切にしなければなりません。
うねる筆音が、鼓膜を振るわせます。



突然鞄から枝を取り出す、座間先生。

この枝で、旗ををフェザータッチすることでお怒りになった「旗神さま」を慰撫しているとのこと。
「ごめんくださ〜い」と、言いながら旗を撫でる座間先生の後ろ姿に、わずかな不謹慎な不届きものが笑っていましたが、わずかな、本当にわずかな、微々たる無礼者が笑っていましたが、というかもっと笑って欲しいのですが、儀式が伝統を形として残し、継承していくのだということが多くの人につたわったのでしょう、シーンと静まり返っていました。



見事完成です。

「これなら親父も褒めてくれる」
と満足そうな座間先生。
「けっこうなんでも褒める親父だけど、これに関してはいつもと違う褒めをしてくれるだろう」
とかぶせてきました。




掲揚される旗に、思わず胸を手に当てるギャラリーの方も、いたとかいないとか、いないとか。


色々反省するところもあったのでしょうが、その後のデートが全く楽しめなかったと角田が言っていました。

ちゃんちゃん!

http://www.youtube.com/watch?v=MAJl-RJ1vi0