昔々あるところに… シーズン野田
黒い物体が迷い込んできました。
僕の部屋にです。
馬鹿でかい蛾?
かと思い、隣の部屋の角田に助けを求めました。
角田は、その黒く羽ばたく物体を見てすぐに、
「ホウホリだ!」
と叫びました。
『角田言語論・下巻』を参照して調べてみると
「ホウホリ…コウモリの意。またはホウホリ」と記してありました。
まさか自室にコウモリ、あるいはホウホリが迷い込んで来るだなんて、ビックリです!
確かに僕にドラキュラ気質があるとはいえ、彼らに仲間意識は全くありません。
しかしコウモリは、馬鹿みたいに暴れ回っており、あまりの激しさにそこにメッセージすら感じてしまいました。
「俺だ!俺!助けてくれ兄貴!わけあってこんな姿にさせられてしまったんだ!この魔法をとくには、乳首に墨を塗り「乳拓」をとってコンロで燃やしてくれ!」
と言っているようでした。
もちろん僕の妄想です。そんなわけありません。
しかし、
角田おもむろに両方の乳首に墨を塗り始め半紙をあてて、専用のバレンでこすっていました。
角田も同じように感じたんだ!
と思って彼の行動を見ていると、右乳首の形がくっきり転写された半紙を、自分の部屋に飾ってニヤついていたので、ただ単に「乳拓」をとって楽しんでいるだけでした。
両乳首の「乳拓」を作成していたので、部屋に飾らないもう片方(左)は僕にくれました。
そして彼はこういいます。
「いいものもらったな」
これで、通算7枚目です。
コウモリは、気まずそうに部屋から出て行きました。
「こんなやつらと一緒にいたら、頭がくさって音波に反応できないぜ!」
たぶんこれは、本当に思ってそうです。