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さておかれる冗談

脚本家でイラストレーターのシーズン野田が綴る「活字ラジオ」。たまに映画を酷評し気を紛らわす悪趣味を披露してます。http://nigaoolong.com/index.html

ホワイトぽっクリスマス 〜濡れ横たわる裸体の真実〜  シーズン野田

このブログは、自分が自分のために開設したもので相成り。

だから、個人的に好き勝手書いても差し支えはないはずで候。

おわかりになりんしょ?




しかしまぁ


うちの妹からかかってくる電話のほとんどが嫌なコトばかり。



犬が死んだ、


だの、


弟がねずみ講にはまっているかも、


だの、


父親が糖尿で足を切る


だの、


カレーを食ったらラモスになった


だの、

実家の近くに住んでるものだから、ほとんどが家族にまつわる嫌な事。

だから着信表示に妹の履歴があったりすると、

「ドキッ」とする。

今度はなんだろう?

って慄然とする。



電話越しの妹の第一声はいつも決まって


「ねぇ、聞いた?」


そこまでは、その日もそうだった。


そしてその後、ケロッと「嫌なこと」言う、そのはずだった。


けど、違った。


「おばあちゃん……死んじゃったって」


妹は急に泣き出した。


携帯が重くなった。

はっきりと「重い」と意識した。


今でも、その言い方、ニュアンス全てが脳裏に焼き付き再現される。








ということでうちのババアが死にました。

※前回にがウーロンライブにお越し下さった方々は、分かるだろうと思いますが、とある歌もの映像作品に一瞬登場した、あのババアです。




この場を借りてババアこと俊子が死んだ事をちょっと書かせていただきたい。

身近な人がいなくなる喪失感を体験すること自体初めてだったし、

気持ちを整理する意味も込めて。




別に俺のブログだからいいだろう?




多分長くなるので、トイレに行ってから読んで下さい。読む人は。






正月、実家に帰った時は、まだまだ全然元気だった。

逆にいつ死ぬのだろう?

とこっちが疑問に思うほどだった。


いつも帰省すると、俺はババアの話し相手になっていた。

ババアの部屋でテレビを見ながら、適当にババアの悪口を聞いてうなずいてるだけなんだけど、

それがババアには楽しかったんだろうと思う。



けど今年の正月は家でパソコン作業をしていたからほとんど話さなかった。



「仕事ばかりしてると疲れるから、こっちにきてやすみゃ〜」

と言っていたが、仕事を言い訳に適当にあしらってた。


まぁ老人なりの草臥れ方をしてはいたけど、あと10年くらいは生きる「はず」だった。

だから、今度来た時たくさん話してやろうと思ったのだ。




けど今度はなかったわけだ。



実にポックリ逝きやがった。



妹曰く、朝、風呂で死んでたのを母親が発見したらしい。




俺は仕事を早退し、慌てて実家へ戻ってみると、家の中には重い空気が充満していた。

母、妹、弟がどんよりしていた。

一番下の弟は、成人式でいなかった。

父はまだ帰ってはいなかった。

正直、父より先に帰ったことを後悔した。

だって、父の実の母であるババアが死んだわけで、

対面した瞬間の、悲しむ父を見たくないじゃん(そんなこと…書かなきゃ思い出さなかったな)。







部屋には警察がいた。

死体に事件性がないかを調べている。







本当は動かしたら駄目なんだろうけど、可哀想だったからと、

たまたま家に居合わせた母と一番下の弟と二人で湯船からババアを持ち上げ、

そのまま部屋まで運んだらしい。



まだ生きてるかも!と思ったが、持ち上げた瞬間、もの凄い重さで、こりゃだめだ…と察知した、

と後日母親が言っていた。

そうとう水も飲んでるんだろう。

弟も、成人式の日の朝に、まさか死体を運ぶとは、


「何て日だ!」


と思っただろう。



さて、

ショックと戸惑いと悲しみと非現実が混じり合う自分だったが、いざ祖母の亡骸を見た瞬間になぜか、


吹き出しそうになった


泡でなく笑いが。

いや、悲しいんだよ。

ものすごいショックで、実家に向かう電車の中でも涙が止まらなかったから、

これ遺体と対面したらやばいんじゃないの?

って思ってて、


で、実際死体見たら、

笑えんの!


まだ、半裸で現場検証みたいな「遺体感」があったからかもしれないけど。

あるいは、重い空気がいやだったのかも。



祖母がただの物体にしか見えなかったのね。



メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」という映画の死体のありさまを思い出した。



あの映画の死体も笑える。

笑かす気がない所がまた笑える。

本気で死んでるのだ。いつだって本気である人のその様はコミカルなのだ!

だから俺は悪くない!




寝かせた死体を傾けると、口から泡が吹き始める。



ババアに化けたカニの化け物である





やがて、父が帰って来た。

死因を母に説明する警察に一礼し、ババアの部屋に直行した。

冷静だった。泣いてはいなかった。少し安心した。

どう思ってるのだろう。

変な人だからよくわからないけど、後で、遺影の写真を探しながら、

「うまいラーメンを食べさせてあげたかったな」

とぼそっと言ったときは、胸が詰まった。

もう今となっては叶わないのだ。

…今となっては叶わないだって。やだねぇ、キザな言い方。






告別式は外でやることになっていた。

親族は式場に朝7時に到着してなければならない。

けれども、前日の大雪で、道路は凍結してる恐れがあり、ノーマルタイヤの我が車なもんだがら、ノロノロ安全運転で、最低でも朝5時にでないと間に合わない(もちろん30分くらい出遅れた)。



雪の日に死ぬなんてよ、


めんどうくさい日に、死んでくれたわ!




先に車で出発した弟が「国道は大混雑してるから、裏道からいけ!」

という指示の元、母と喪主である父と自分とその他を乗せたワゴン車は、Uターンし裏道へ。



しかし、これが大間違いの判断ミスだった。



路肩には事故ったタクシーや、諦めて進めなくなったあわれな車がいくつも乗り上げていた。



「可哀想だな〜。あ〜あ〜、事故ってら〜バカでやんの!」



なんて言いながら、まさかそれが後で身に起こる出来事になるとは、その時はまだだれも知らないのである。。。ひゃ〜。




やがて、前方、上り坂で止まってしまったトラックを発見。




↑煙吹いてる。


後輪がスリップしまくり、動かない様子で前が詰まっている。




しかたないから、車から降りてせーので押すがびくともしない。



後輪がかき上げる雪の飛沫をもろにうけ、喪服は雪まみれの泥まみれになった。

時間は刻一刻と迫ってくる。

トラックはとりあえず諦め近くの路肩へ退却した。




近所のおっさんがやってきて

「こんなところにノーマルタイヤでくるなんて、頭がおかしいぜまったく」

と罵声を浴びせていた。




とにかく、道が開いた!




だがしかし、いざ車に乗り込んで進もうと思ったら、今度はマイカーが動かない!



「こんな動かないのも、うちの車かババアの死体くらいだわな!」



なんて冗談言いながら車を押すが、やがて現状を理解し時間を算出すると、

完全に間に合わない。。




ということで車を乗り捨てバスを選択。




↑乗り捨てられたマイカー。



たまたまその場所にバス停があったのが不幸中の幸い。

まさにトライアスロン常態である。


バスもそんな日だから、尋常でないほどの混雑ぶりで、アウシュビッツの収容所に向かう列車を思い起こさせた。

そして、渋滞に巻き込まれ、バスも全く動かない点では、アウシュビッツの収容所に向かう列車の方がまだましだ。



ドイツ人に怒られそうな例えなのが気になるが、修正なしの勢いで続ける。




我々一同は動かないバスに見切りをつけ、悪路を歩いて式場まで行く事にした。

白い雪の中、黒い我々のコントラストがやけに象徴的だった。


ということで着いた頃にはババアの葬式は終わってました


ジョンのいないビートルズよろしく、

まさかの喪主のいない葬式。。


おいおい、どんだけ坊主に金払ってると思ってんだよ。


ただ、式は終わってはいたが、祖母と対面する事は出来た。






棺の中に花を入れていく。。






その他にも、祖母が溺愛していたひ孫の写真や、ひ孫の写真、
その他、俺の姪っ子、つまり妹の子供、もとい、ひ孫の写真なども一緒にって入れてって、


ひ孫の写真ばかり!!


まぁそのくらい妹の子供達を溺愛してた。

ひ孫達はババアの生き甲斐になってた。

ひ孫らもとても嬉しそうにババアになついていた。


人様の子供を見ては不細工だなんだと、口の悪いことしか言わないババアだったけど、ひ孫だけはずっと褒めてた。



死ぬ前日、七五三の写真が出来たら妹が届けたらしい。

ババアはその写真を15分くらいじーっと固まって見てたんだって。

死んでんじゃないの?ってくらい固まって。



まぁ次の日本当に死ぬわけですが、容易に想像できるな。




そうか、当たり前だったあの光景はもう見れないのか。






ひ孫と出会えるって凄いことなんだぜ?


だって、自分のオカンが俺の子供の子供と出会うと考えたら、ちょっと奇跡だろ?

 
だから妹に感謝しろよな。カスやろう。





と、加藤ふりかけに言われ、こいつは修羅場を色々乗り越えてるなと思いました。







ついでに俺が一晩で作った、ババアの思い出DVDも入れておきました。







火葬場に向かう途中、ふと車内から外を見るとこわいくらい晴れてた。


なんか、とんでもない葬式だったけど、雪が降るたびに思い出すかもしれないなぁ。


スリップした車を押したこと。

泥だらけになった喪服。

バス料金を支払うのも忘れて急いだ家族のこと。



そして、おばあちゃんのこと。



雪はおばあちゃんが降らせたなんて言ったら、こりゃまたキザすぎますかね。




けど妹は、そうかもって。




子供達が嬉しそうにはしゃいでたから。











最後までおしっこがまんして読んでくれ方、ありがとう。

だからトイレに行っておけと忠告したのだよ。

もう書くのめんどくさいから、やめます。


















おばあちゃん、ありがとう