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さておかれる冗談

脚本家でイラストレーターのシーズン野田が綴る「活字ラジオ」。たまに映画を酷評し気を紛らわす悪趣味を披露してます。http://nigaoolong.com/index.html

酷評シネマ「マザー」

映画

犬も歩けば棒に当たるよろしく、

 

吉祥寺を歩けば、楳図かずおに出くわす、

 

と言う都市伝説は今や一人歩きし、

 

吉祥寺を歩けば、楳図かずおの精神に触れ発狂する、

 

と語り継がれているかは定かではないが、吉祥寺に住んでいるときは、一日三回、朝昼晩と楳図かずお先生に出くわした事もあり、その後しばらく赤と白のストライプを見る度に思わず「先生、こんにちわ」と話しかけてしまう病に取り憑かれたがゆえ、あながち間違いではない様な気もする。

 

 

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先生こんにちわ!

 

 

 

 

そのくらい、楳図先生は、吉祥寺のシンボルである。

 

ちなみに「先生こんにちわ!」と声をかけると

  

「はい、こんにちわ」

 

と笑顔で対応して下さります。

 

とぼとぼと街をあるく楳図先生は、まるでその場で足踏みしているようにしか見えず、街の方が先生にお合わせして動いているように感じるほどだ。

 

自分も女の子に吉祥寺を案内するときはきまって、楳図邸をゴールにするのだが、それは意識的なものではなく、

 

気がついたら楳図邸の前に立っているという感じだ。

 

 

 

そんな楳図先生が映画をお撮りになったという。

 

楳図先生久々の新作が漫画ではなく、なんと映画なのである。

 

初監督作品。

 

しかも、当然 ホラーなわけだから、今回自分達が撮ったホラー映画の参考になるかもしれない。

 

これはもう観に行くしかないわけである。

 

ということで「マザー」を観て参りました。

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しかしながら、映画館には自分を合わせて4人しかおらず、おいおい、宣伝部はなにをしてるんだ?と、怒りがわきましたが、逆に満員御礼だとしても、それはそれで何かしらの違和感や、憂いが芽生えるだろうとは思うのもの、4人は少なすぎます。

 

「おろち」や「漂流教室」など数々の、楳図カズカズの名作を世に送り出した天才の新作に対して、あまりにも狼藉すぎやぁしないかと。

 

そんな憤った気持ちで映画を鑑賞しました。

 

さて、肝心の内容なのですが、

 

 

 

 

まさにグワッシッ!!!です。

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楳図ワールド全開です。

 

楳図かずおの生い立ちを紐解く過程で、母の怨念が人々を殺しまくり、やがて、楳図本人と対決するというストーリーなのですが、まぁストーリーもさることながら、なんというか「間」や「セリフ」の言い回しなど、まんま漫画なんです。

 

楳図先生の漫画を読んでいると、セリフのいいまわしにあまりひねりがない。

 

痛い時に痛いといい、悲しい時に悲しいと言う、<ストーリーがわかればいい>っていう放り投げと割り切りが逆に展開にスピード感を与えていて、さくさく読めるので僕は大好きなわけですが、(まぁ昔の漫画ってそうなんだけど)それが映画でも多分に発揮されていました。

 

ただ、漫画ではその簡素な要素が、インク一つで作り上げられた高密度な絵のタッチで相当補われていたのに対し、映画になると、言い回しや、衣装、CGなど見えてくる箇所が増えるので「これ狙ってるの?あえてなの?」って感じでチープな表現が一瞬雑味に感じるのも事実。

 

まぁけど、あえてであろうがなかろうが、おもわずわらってしまうほどのぶっ飛び方が随所にあるので、これはこれでいいと思えるし、むしろ作品全体のムードや気配の根幹にかかわる要素になっているので、雑味が悪いわけじゃない。

 

むしろ先生らしいオリジナリティーになっている。

 

冒頭のタイトルの出方も、最後のエンディングも(いらないと言う人はいるだろうが)とうてい思いついてもやらないようなことがやられていて、そのセンスはどうなのよ?と思いつつ、爆発しているので、面食らいながらも笑えるのです。

 

 

もちろん天才ギャグ漫画家の監督作品がゆえ、計算してそれをやっている!といえなくもないのでしょうが、本人としてはいたって真面目にやっているところが、笑いになっているような気がする。「本気」だから、「笑い」になる。

 

いや、あくまでも監督がギャグとしてやっている場合、それは役者の本気さが生み出す種類のものなのかもしれません。なんにせよ、なにか笑いを取るため以外の一生懸命さが、副産物としての笑いを生み出している。

 

何を一生懸命やってるんだ、と。

 

だから、コメディとかでは役者さんは真面目な方がいいのではないかと思います。

 

あんまりふざけたコトやられると、ウケから遠くなりますよね。

 

さて、主役の片岡愛之助。その辺の機微をわかっている役者さんですよね。

 

彼は「半沢直樹」でもオカマの役としてコメディ担当を怪演しておりましたが、笑いを取ろうとする演技ではなく、あくまでも嫌なオカマを本気で演じることが、思わず吹き出す要素として効いていました。それは、香川照之もそうでしたね。

 

だから、楳図先生のボーダーのシャツを常に着用し、あまりにも真面目に演技をするので、それだけでなんだか、違和感というか、変な気分になります。

 

ただ、楳図かずおを知らない人と観に行くと(なぜ知らない?)「なんであの人、ボーダーの変な服をきているの?」という疑問の方がまさるようで、ただの違和感で終わっていた次第。

 

そして、こう言っておりました。

 

「今まで観た中で一番ひどf:id:nigaoolong:20141005233653g:plain

 

ぐわし!!!