さておかれる冗談

脚本家でイラストレーターのシーズン野田が綴る「活字ラジオ」。たまに映画を酷評し気を紛らわす悪趣味を披露してます。http://nigaoolong.com/index.html

今年流行語間違いなし!「ニテヒ」となんなのか!?

別に誰も気にもしてないけれど、自然と小耳に入ってくるのが西田ひかるの誕生日会と流行語大賞

 

昨年2017の流行語大賞インスタ映え「忖度」でした。いうまでもありませんが、

 

インスタ映え・・・見栄えがいいこと

忖度・・・他人の気持ちを推し量ること(長いものに巻かれろ)

 

という感じでしょうか。

 

その他にも、

 

うつヌケ/うんこ漢字ドリル/炎上○○/AIスピーカー/9.98(10秒の壁)/共謀罪/GINZA SIX/空前絶後の/けものフレンズ/35億/Jアラート/人生100年時代/睡眠負債/線状降水帯/ちーがーうーだーろー!/刀剣乱舞/働き方改革/ハンドスピナー/ひふみん/フェイクニュース/藤井フィーバー/プレミアムフライデーポスト真実魔の2回生/○○ファースト/ユーチューバー/ワンオペ育児・・・

 

など、ちょっと聞いたことから、割と聞いたことまで色々ノミネートされているわけですが、こう並べてみても「インスタ映え」と「忖度」は別格です。

 

日常の中で、なんの淀みもなくスッと口から出てきます。

 

流行りの言葉に侵されたくないと子供のことから肝に銘じている自分でさえ「このカフェ、インスタ映えしそうダノニ〜」とか、「どこかで忖度している自分がいるダノニー」みたいな感じで、自然に発しているのです。

 

流行語大賞にノミネートされるまで、それがまさか流行語だったとは思いもしない。それが大賞の力です。ちなみにダノニーは自分専用の語尾なので気にしないでください。

 

それ以外の言葉は、言うぞ言うぞ〜とかまえながら「35億ダノニ〜」とか「ちーがーうーだーノーニ〜!」とか言う感じがして、ちょっとストレス。

流行っているのをあえてやるという「わかっている感じ」を含めて言わないと、企業の忘年会の出し物みたいな空気になりそうでビクビクします。

 

その点でも「インスタ映え」と「忖度」は、むしろストレスを回避してくれます。潜在意識が求めていたであろう<名前のないこの感じやあの感じ>をうまくついてるのだと思います。

 

ちなみに2016年の流行語大賞は「神ってる」。

2015年は「爆買い」「トリプルスリー」

2014年は「ダメよーダメダメ」「集団的自衛権

2013年は「今でしょ」「お・も・て・な・し

 

・・・うん、どれもこれも、あの感じやこの感じを言い得てくれています。

1日3食3品食べることをまさか「トリプルスリー」と名付けていただけるとはね。

 

さて、そんなこんなで今年2018年はどんな「あの感じやこの感じ」が、流行語になっているのでしょうか??

それではご紹介します!

その名も

 

ニテヒです。

 

にてひ、と読みます。

<似て非なるもの>をぎゅっと濃縮した言葉です。

 

一見似ているが、本質は異なるもの。 いかにも道理に合っいるようだが、正しくないもの。 まがいもののこと。

参照:故事ことわざ辞典

 

ふむふむ。

 

例えば

「あなたは整形で鼻を高くしたが、美人の鼻とは似て非なるものだ」とか、

「あなたの鼻は蜂に刺されて大きくなったが、だからって人気者になれるわけじゃない。マリオとは似て非なるものだ」とか、

「マイケルジャクソンの鼻は、鼻とは似て非なるものだ」といった感じでしょうか。あまり良い意味で使わないみたいですね。思いつくのが鼻の例題ばかりですいません。

 

しかし、ニテヒ良い意味で使います

 

先日代々木にあるとん汁専門店『ごちとん(野菜を食べる ごちそうとん汁)』というお店に行ってきました。

とん汁の専門店ということで、さぞかし美味しいとん汁なのだと思います。

しかし、行ってみたいとは思いつつ、あまりテンションがあがらない。

だって、とん汁ですよ。

とん汁はあくまで、炊き出しや、味噌汁のバージョンアップメニュー。

アベレージは高いがわざわざ食いに行くようなものじゃないのです。

もはや戦後じゃありません。

外食してまでとん汁を食うもの好きは、豚の霊にとりつかれているか、汁の霊にとりつかれているか、そのままとん汁の霊にとりつかれているとしか思えません。

いくらごちそうったって・・・

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ごごご、ごちそうじゃないか!!!!

どかんと乗っかったスペアリブは、「汁に豚が入っていさえすればいいんでしょ?」と言わんばかりの居直りっぷり。

 

いわゆるとん汁を知らない人が「豚の汁」という言葉だけでたどり着いたような奇跡の一皿。思わず「凄い!」と唸ってしまった。

 

これは僕らが知っているとん汁とは似て非なるもの、つまりニテヒなのではないかと!!

 

・・・どうです?

 

こんな感情のときに使うのがニテヒです。「すごい」「今までとは違う」「もはや本来の意味を飛び越えてしまった」というような感覚を含んでいます。

 

このようななんとも言えない新しい体験をしたときに放つ言葉として、今後ニテヒは広がっていくことでしょう。「イノベーション」をかわいく言いたい時にも使えるし、感動という意味に置き換えられるかもしれません。

 

映画の宣伝にもある「泣きました」「また見たいです」「感動しました」に紛れて「めっちゃニテヒ!」と使われたりするかもしれない。

 

「今カレがニテヒだったから結婚しました!」

「今回の出産はニテヒかも。ニテヒッヒッフ〜」

「映画版のジャイアンは、テレビ版とはニテヒ」

 

くらいしか今は使い道がありませんが、今後実証例が増えていき、多くの人に叩き上げられそれ自体が意味になるような立派な言葉になっていくことでしょう。

 

どうぞあなたの「ニテヒ」を探して、教えて下さい。

 

 

www.machikado-creative.jp

 

↑街角のクリエイティブでコラム書いてます。

映画のことは少ししか書いてない映画のコラム。今のうちに謝っておきます。