さておかれる冗談

脚本家でイラストレーターのシーズン野田が綴る「活字ラジオ」。たまに映画を酷評し気を紛らわす悪趣味を披露してます。http://nigaoolong.com/index.html

「NHKプロフェッショナル」が脚本家・坂元裕二の特集だった。

脚本家・坂元裕二が好きだ。

坂元さんといえば「カルテット」。
あまりに素晴らしいドラマで、それまでは一本も見たことがないのだけれど一気に好きになった。ドラマそのものに再び興味を抱くきっかけになった。
 
今回、NHKプロフェッショナルで特集されていたのが坂元さんだった。テレビに出ることはない脚本家の創作風景。
坂元さんから吐き出される言葉や、創作に向き合う姿を見てると、ほんとそうだよな〜というものばかりで大変共感した。
1日机の前にいて1ページも書けない姿。
10の人を100にするのではなく、マイナスの人をせめて0にするような作品にしたいというかっこいい言葉。
行き詰まり、ゲームやってしまうおちゃめさ。
そんなものがちりばめられていた。
「うんうんわかるわかる。創作ってそいういうことだよね。。」
でも、ふと、これは「嘘の共感」であると思い立った。
坂元さんは、毎日奥さんと交互に欠かさず娘のお弁当を作っている。
どんな酔っ払って帰ろうが欠かすことがない。
整然と並んだ本棚。仕事部屋だって綺麗なものだ。自分の部屋とは大違い。
そして何より、その偉大な功績。。。。
創作の中で起こる、甘美な退廃にばかり共感し、ダメな自分を肯定する。
求めている言葉にだけ目を向け、自分が崩れた時の「まぁ、坂元さんも迷ってたししょうがない」という予防線なる回路を作る。
ああ、自分がダメなのはこういうところだ。
と同時に、何か奮い起つものを感じた。そんなプロフェッショナル。
考えて考えて、迷って戦って、作るんだよ。日常も作品も。