結婚したくなった話
カバを鞄にする、KABAちゃん。
という駄洒落を思いついて、カバ製の鞄をゾウ製だと偽り売りつける未来の佐村河内の姿が目に浮かぶ、シーズン野田です。
とあるカフェで、我が耳に飛び込んできた、隣席の主婦のこんな会話。
「うちこのもう28なのに結婚できなそうなのよ。とにかく見た目が不細工だから、このまま一生結婚できないかもしれないわ…」
「あら、うちなんて30なのにまだ全然よ…」
フェイスブックなどのSNSでは、我が子を
「世界で一番かわいい生物、まじクリオネ越え確定!」
みたいなノリであげまくってるスティーヴィー・ワンダー級の盲目ペアレンツどもがのさばる中で、リアルな場でのリアルなつぶやきというのは本当に胸を打たれるわけですが、と同時にとてもつらくもなりました。
産まれたときはその誕生の喜びだけで、かわいいか、わいくないかの判断なんて二の次。
けれどもどこかのタイミングで
「あれ、うちの子、周回遅れでブスじゃない?つーか、ブスじゃない?」
と気がつきながらも、クビをブンブンと振りながら
「うちの子=世界一」
という脳内麻薬を分泌させながら日々を送り、その苦悩を綴った日記「親として」をチラ見したような気分になったのです。
自分には子供がいないので、我が子を持つ親の気持ちなど分かるわけもないのですが、「うちの子は見た目が不細工だから一生結婚できない…」とあきらめた親の絶望は、我が子を自慢するレイチャールズ達のきらきらとした言説よりも、逆に僕にとっては遥かに希望を感じるものでした。
結婚して、子供が欲しい。
そんな気にまでさせてくれるのです。
仮想空間であるネットの世界においても、現実においても、自分を「仮装」することはとても多いでしょう。
けれども仮装している自分を火葬し葬り、どれだけ、本音で生きれるのか?
ん?
仮装している自分を、火葬!?
またやってしまいました。
どうせまた、自然にライムってしまうというヒップホップ体質のおかげで、<親父ギャグをいう俗物>というレッテルを貼られてしまうことでしょう。
このように、世の親父どもはヒップホップ体質なだけで散々な目にあっております。
それについてはまたどこかで語りますが、話を戻すと、
「いかに本音で生きるか」
というのは人生のテーマであると思うわけでございます。
もちろんこれは難しい。
パンツ履いて股間を隠しているだけで、矛盾が生じる理論です。
かといって、逆に股間だけを丸出しにして生活を送ればそれは「本音」かと問われると、そうでもなかったりします。
本当の自分に目を向けて欲しくないがために、丸出しのイチモツに視線を集める自己防衛をしている、とも言えるからです。
けれどもその主婦からふと漏れた「うちの子は不細工である」という憂いと嘆きは本音だからこそ、「生の実感」として見知らぬ誰かの心にさえしっかりとその苗を植え付けていったのです。
そしてその後の主婦のリアクションがまた絶妙で
「あら、うちなんて30なのにまだ全然よ」
と、「不細工」というテーマから見事にスライドさせて「年齢」というキーワドをとてもナチュラルに強調し、触れづらい中でもより触れやすい方向へと話を
導き、共感を得たのでした。
「大丈夫、うちの方が、ブスだから!」なんて励ましてみようもんなら、
「やっぱり、うちの子はブスなんだ」と余計に落ち込んでいるのは目に見えてますからね。
本音に対しては、優しい気遣い。
本音と本音はぶつかりあってはいけません。
↓嘘でも本音でも押して下さい。