さておかれる冗談

脚本家でイラストレーターのシーズン野田が綴る「活字ラジオ」。たまに映画を酷評し気を紛らわす悪趣味を披露してます。http://nigaoolong.com/index.html

「この世界の片隅に」を見た感想を、片隅の俺が書くという愚行日記。「手」が素晴らしい!

お題「最近見た映画」

 

こんにちわ。チョコのことをショコラと言うように努めているシーズン野田です。

 

突然ですが、

 

ゴリラ娘も年頃になると、お父さんゴリラを嫌がるらしいですね。

 

「お父さんと一緒にもうドラミングはしたくない」的な感じで。

 

だからもし、自分の娘が

 

「お父さんのパンツと一緒に洗濯しないで」

 

的なことを娘が言ってたら

 

「ゴリラかよ」と一言いってやろう。

 

「ゴリラに育てた覚えはない!」ってね。

 

時には

 

「素手でウンコ投げてからいいな」

 

ってひねり方はアリかもしれません。外人ぽくてね。

 

 

て、そんなことより、本当にそんなことより、

 

大変評判になっているこの世界の片隅にをようやく観ました。

 

世界の片隅も片隅、極北の自分が、まさか片隅映画を一人で観に行き、片隅を乗算するとは思いませんでしたが、自分以外の片隅を見て「ああ、生きてていいんだ」と思いたかったのかもしれません。

 

これ以上片隅を語ると、あの世の真ん中に逝きそうなのでやめておきます。

 

ご存知のない人に説明すると、

 

 

 

君の名は。」のアニメ全としたアニメに対し、隣の山田くんのように淡いタッチの味わいアニメで、時期的にうまいこと対立構造を作り上げ、クラウドファンディングで作られたこともまた、それを後押し、絶妙なタイミングで公開された、反戦アニメ映画です(偏見)。

 

まぁ色々言われてるんだろと思いますので、あんまりしつこく書きません。

 

※ネタバレあるよ

 

この映画で自分が一番印象に残ったのは、それは何と言ってもアニメーションであり、とりわけ「手」のアニメーションです。

 

デフォルメされたアニメの中で、手の存在に大変なリアリティを感じたのです。

 

こうの史代先生の原作は未読であり、漫画の方がどうなっているのかわかりませんが、

なんというかとても「手」が大きく描かれていてとても感情が伝わるのです。

 

毎日のように絵を描くすずは、後半爆弾により悲惨にも右手を失うのですが、そのことをより鮮烈に印象づけるのもまた、この手のアニメーションの効果なのではないかと思います。

 

手は口ほどにモノを言うというか、手の印象的な表現て記憶に残りますよね。

 

僕がこの映画を見て思い出したのが画家の中島潔です。

 

 

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デフォルメされ若干癖っぽい形ではあるものの、とてもみずみずしさと透明感を感じさせる手を描きます。

 

この手におけるバランス感覚が「この世界の片隅に」のそれととても似ているなぁって思いました。

 

まぁ自分が手が好きなたちなので、特に気になったのかも知れないだけなのですがね。そういうたちなので。

 

他にも松本大洋先生とかエゴンシーレとかクリムトとか荒木彦摩呂先生とか・・・忘れましたが、色々と手の天才がおりますので、注目してみていかがでしょうか。

 

この人の「手」いいよってのあったら教えてね!

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