なに!モスバーガーとミスタードーナツがコラボしたって??
今週のお題「名前をつける」
その「モス」という近未来的な響きが、「おいしい」を連想させるのは、おそらく対照的なマクドナルドのおかげかもしれないが、と同時に「割高」を連想させるのもまた、ジャンクの王様マクドナルドの功罪か。
両者「M」をデザインにしたロゴもあいまって、これまた実に対照的だ。
今の世の中が美味しさよりもどちらかといえば「安さ」を求めるから、マクドナルドに軍配が上がっているように感じるのだろうが、もし、
「一日限定、ただで店中の商品を食い放題。吐くまでは、帰れまセン」という、クソみたいな企画があがるとしたら、マクドナルドよりはモスバーガーでやりたい、と多くの人が思うだろう。
モスかしたら、じゃなくて、もしかしたら、「マクドナルドの方が、チープで好き」
という人種もいるとは思うが、好きの理由が「チープ」である限り、例外ではない。
モスバーガーは、おいしいのだ。
相対的に、そして絶対的に。あるいは便宜的に、記号的に。
その両義性がモスバーガーの示す位置なのである。
そしてなにより、客層がいい。
マクドナルドにいる、
自分の発しているワードが下ネタである事に気がつかず大きな声で「マラドーナ」の話をする女子高生や、公衆便所で料金を取るホームレス、エスカレーターがこわくて乗れないババア等、
古いギャグ漫画でネタにされる様な残念な人間はまずいない。
実際に、
「マックシェイク片手に松屋の牛めしを食べてる女子高生の集まり」
をマクドナルドで見た時に、
「食っている牛のように売り飛ばしたろうかい!」
と心の中で捲し立て、怒鳴った。
自分はこんな奴らの来る店を頻繁に出入りしているのかと思うと、本当に情けなくなった。
多分、私が女子高生に怒鳴ったとて、ただ単に「女子高生にカラみたい中年の変態」扱いされるだろう事は目に見えている。ちょうどたまたま全裸だったことも彼女達の感情を逆撫でするだけだろう。
その日以来、私はそのように心の幕の中で怒鳴ることを「マクドナル」と名付けた。
バーガーのパティを目の当たりにし「俺たちよりも細かくなっている!」とショックだったか、まだマシであると安心したかはわからないが、違う調理法がメインの店で食されるとは、夢にも思っていなかったはずだ。
今この文章も、とあるマクドナルドで書いているのだが、目の前で催される、
「おっさんの一人大爆笑」もまた、マクドナルドならではの光景である。
何が面白いのかは個人差があるので責められないのだが、何もないのに一人で爆笑することなど、生きていて一度あるかないかの確率だ。
そんな低確率の大爆笑が今目の前で行われているのだ。
誰かが「カット!」と言うと、その爆笑は終わり、「何かの撮影だったんだ~」と腑に落とさずにはいられないほどに、異様な光景である。
(しかも、なぜかちらちらと目が合う)。
そんな、ベージュの色合いを基調にした服を着こなす一人笑いの中年など、モスバーガーにはいない。
最近は宝くじで3億円当てたので、マクドナルドよりも、モスバーガーを使用する頻度が増えのだが(今はたまたまマクドナルドにいるが)、全員宝くじに当たって人生が変わってしまったのかと思う程、マクドナルドの客層とは対照的だ。
実に静かで心地がよい。
緑のハンチングを前後逆向きにかぶる店員の姿は
「このスタイルがいやならこなくてけっこう」
と言わんばかりの自信とプライドを感じさせ、牛めしを持ち込んでもいいような甘えた空気は一切作らない。
それは選ばれしエリートしか住めない「モス」という惑星である。
惑星モス。
ありそうである。
そして、捲し立てて怒鳴りたくなるマクドナルド。
どうやら名は体を表しているようである。
さて、そんなモスバーガーもまた御多分に洩れず、ファストフード店らしく新商品を出すわけだが、本日発売したモスのフレンチクルーラーには目を奪われた。
個人的に、Mr.ドーナツのフレンチクルーラーをフレンチの頂点としているので、
それを「モスがフレンチクルーラーを作ったら、こうなった」と言われたら
え?どうなったの?
と普通に聞いてしまいたくなる。
ただ、コラボ商品。。
「ドラゴンボール」と「アラレちゃん」のコラボ以降、世のコラボに成功例がほとんどないことを踏まえてみても、期待は禁物である。
先日も、ロッテリアで食べた「つけ麺バーガー」と言う大勝軒とのコラバーガーで、痛い思いをしたばかりであるが、モスへの信頼感と、ピエロに育てられたがゆえの、持ち前の好奇心に打ち勝つ事はできなった。
さて、番号札2番を掲げてテーブルで待っていると、緑のハンチングを前後逆にかぶった惑星モスの兵隊が、まるで機密事項のようにその「コラボ商品を」運んできた。
見た目は、まぁまぁ想像通り。
中にはぐるぐる巻きのチョリソーが挟まっている。
つけ麺バーガーは見た目からして、詐欺だったが、それに比べれば大分マシだ。
まずはフレンチクルーラーの部分を齧ってみる。
…チョリソーの油か、ドレッシングかソースか何かはわからないが、何かを吸いこんでしまったのだろう、ブヨブヨである。
ただでさえ、フレンチクルーラーは油で揚げている。それが、さらに何かを吸い込んだのだから、余計にブヨブヨなのだろう。
ただ、モスさんのことだからきっと理由があるはず。
おそらくフレンチクルーラーの部分だけで食べると言う、マクドナルドを頻繁に出入りしていた前歴を持つ下等民族の考える事など、考慮しているわけはないのだ。
きっと、全体で食べればそのブヨブヨさがあいまって、とんでもないコラボになっているに違いない。
クビを振り、再び目の前のバーガーにかじりつく。
そして思う。
どうせなら、もっとまずくあって欲しい。
中の具材はやっぱりモスバーガーらしく美味しいのだ。
ただはやり、フレンチクルーラーの部分が、Mr.ドーナツほど、ミスターではなく、ブヨブヨなため存在感が一切なく、ただただ油っぽい。
オッサンを食べているような感覚である。
けど、狙っているのだよね、このブヨブヨ。
そうあって欲しい。
いつものMr.ドーナツのフレンチクルーラーで、モスの具材を挟んでくれればよかったのに、という、野暮な気持ちは抱いてはいけないのだよね。
たまたま自分のやつだけがブヨブヨだったわけじゃないよね?
全部ブヨブヨなんだよね?
まずくはないけれど、納得がいかない感じの、残念さと、もやもや感。
まさに、マクドナルド級!!
これなら正直、頭を抱える程にやってしまった感のある「つけ麺バーガー」の方が、コラボとしては正当であるような気がします。
あれはまずくて笑うからね。